メモ0128

シャワーを浴びて体を拭いているとハエが1匹飛んでいるのが視界に入った。

普段はそんなに虫を殺さないほうだ。虫が湧くと大変だから気をつけろと家主に注意されてから、ここは借り物の家だし、どこから入ってきたのか、生まれたのか、わからない虫に気をつけなければいけないなと思うようになってしまった。他人のせいだと言いたげなこの文字を書いているのはわたしだ。

ハエはあっさり潰れた。ハエが一匹死んだくらいでわたしの目の前からハエがいなくなるわけではないし、生きていたところでわたしに危害を加えるわけでもない。命を無駄にしてしまったな。こんなふうに虚しくなるのも知っているから、だから殺さないと決めていた。そうは言えども、決め手は曖昧な場所で揺れているものだ。

今朝、人を殺した夢を見ていた。わたしは誰かに追われて逃げていた。なぜ殺したのかわからないし、本当に死んだのかもわからない。そもそも殺意すらなかった。

逃げた先で、わたしは一人に秘密を打ち明けて、助けを求めた。
いや、どうしてわたしが助けを求めるんだよ。結局誰を助けてほしいんだ。

その人は、まず遺体を見に行った方がいいんじゃない?とわたしに言った。たしかに、と思った。生きているかもしれない。死ぬってなんだろう。