Ravel 弦楽四重奏の録音(Quatour Habaenra)

私も大学時代にラヴェルの弦楽四重奏を編曲しようとしたことがあります。
その時は全楽章を編曲することは出来ず、やっとの思いで1楽章だけ完成させました。それでは尻切れトンボだろうと、見かねた先輩が4楽章を編曲してくださり、大学内での演奏会で1楽章と4楽章のみ演奏しました。
サックスでの録音は、オーレリアとトルヴェールの録音を聴いたことがありました。(トルヴェールは1楽章だけだったけれど)
私が「ラヴェルをどうしてもやりたいけれど、二楽章はどう頑張ってもサックスでは表現できない」と話したら、師匠が「ハバネラがピチカートをスラップでやっていたよ」と教えてくださったのです。それで参考にしたくて録音を探していたのですが、私の探す力がとても弱すぎて、見つけられませんでした。

それから月日は流れ、先日のスタージュです。ハバネラのソプラノ奏者クリスチャンヴィルトゥChristian Wirthさんが持ってきていたCDがまさにそのCDでした。買いました。とても嬉しかったです。


スタージュが終わり下宿に帰ってきて、やっと聴くことができました。
気になっていた2楽章だけでなく、全楽章においてピチカートをスラップで演奏していて、これがとてもきれい!それから、トレモロの表現をしているダブルタンギングも、同じくトレモロをフラッターで表現している部分も、どちらも曲に馴染んでいる。こうやって、特殊奏法を、奇抜な効果としてではなく、自然に取り入れるのってほんとうに素敵じゃないですか…。

私(たち)は、あまり必死に吹くことにならないように、音域や音型も若干変えたりしていたのです。でも、そういう書き換えがすくない。そのうえでこの余裕を持って演奏されているので、ほんとうにすごいです。楽器についてもうよく知っている人が編曲と演奏をやるなら、楽器の気持ちいい鳴らし方も知っているし、難しいままでも実力で乗り切ってしまう。言うことないじゃないかと。

今まで編曲ものがうまく演奏できないときに「これは編曲が悪いんじゃないの?」と思っていたけれど、決してそれだけではないですね。編曲ものの演奏がつまらなくなるのは、演奏者の技量が足りない部分もとても大きいのだと。原曲の楽器がどういう演奏をしているか知って、加えて自分の楽器がどういう音を鳴らすのか把握していないから、つまらなくなる。
ピアニストさんがオーケストラの編曲ものをやるときに、元のオーケストラの録音をしっかり聴きこんでいたことを思い出します。ああいうのも単なるイメトレではないのですね。

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さてさて、このCDには、ラヴェルの弦楽四重奏の他にも、ショーソンChaussonのいくつかの舞曲Quelque dance、ドビュッシーの舞曲が録音されています。どちらも原曲はピアノ。どちらも原曲を聴いたことがありません。聴かねば…