指の雑音を取り除くこと


私はサックスを吹いています。これは今まで色々な先生にのアドバイスを受けたり、自分と同じレベルの学生の演奏を聴いたりして、考えてきたことです。ここに書いたことの大半は、私の疑問に答えてくださった先生方の受け売りです。ありがとうございます。
最近、すこし自分の中で噛み砕くことが出来たので、ここにまとめて書いておきたいと思います。
指と音色の関係について

サックスで指がうるさい人は音色もきれいではないと思います。
理由はふたつ。

1.体の使い方が良くないことのひとつの結果として、指がうるさくなっている
2.管体の中で雑音が混じる

ひとつめ。体の使い方が良くないことについて。

必死になって速いパッセージを演奏しているとき、陥りがち。
指を速く正確に動かすことに意識を集中させるあまり、姿勢が崩れたり、呼吸が浅くなったりします。
腕、肩、首など体中がガチガチに固まっている状態では、結果として指がうるさくなります。
呼吸も浅く、あちこちに無駄な力が入った状態で、きれいな音色を出すことができるでしょうか?

ふたつめ。管体の中で雑音が混じることについて。

楽器を吹いて音が出てくる場所はベルだけではありません。音孔からも音と空気が出てきます。
サックスは他の木管楽器と比べて、音孔とタンポの大きさが大きめです。タンポが大きい分、音孔を塞く抵抗も大きいです。
キーの騒音が大きいときは、必要以上の力と勢いでもって打撃音が発せられている状態です。
吹奏音が出ている場所を、勢いよく塞いで打撃音が発せられると、双方の振動がけんかしている状態になるのではないでしょうか。

つまるところ楽器の内部に雑音が紛れ込んでいるわけです。
スタジオで録音するときは、極力、部屋の内側の雑音を減らします。楽器の内側でもそれを気をつけようということです。


改善策

まず、体の使い方をよくしていきましょう。
体の使い方については私も専門外なので、どうにかしようと思われた方は何かしら本を読んでいただくとよいと思います。
歌の先生のレッスンを受けることも、とても勉強になります。私はアレクサンダーテクニークのレッスンを受けたりして、自分の体についてちょっと理解を深めたつもりです。

体から無駄な力が抜けた状態であれば、騒音が減らせます。
指がうるさい状態は力んでいる状態なので、指がうるさいことに気が付いた時、体のどこが力んでいるかどうか確認できるようになります。

つぎに、指の動かし方自体の意識を変えましょう。
速いパッセージであっても、指自体に速さは必要ありません。
キーボードのタイピングが速い人は、打つ速度が速いのであって、打つ力が強いわけではありません。強さと速さは別のものなのです。木管楽器も同じです。
押さえる勢いと力が弱まれば、指からくる雑音も小さくなります。

先日ある先生に二人羽織をしていていただいて、私が息を入れて先生が指をやってくださったのですが、びっくりするほど先生の音色に近寄りました(個人の感想です)。
別の方で、「指で歌うんだ」とアドバイスをくださった先生もいます。上手だと思う人の指の動きを、見た目から真似てみましょう。
指を静かに動かせるよう気をつけながら、声で歌って練習することも効果的です。なんとなく動かしている指の動きを、ひとつずつ、丁寧に分解して、理解していきましょう。


おわりに

茫然といい音を出そうと思っていると、指の事がおざなりになりがちです。
逆も叱り、茫然と指を動かそうと思っていると、音色のことがおざなりになりがちです。
良い音の一つの大切な要素として、指の運びの美しさがあることを頭の片隅においておきたいです。

がんばろーね!