フランスのGapという町で行われた講習会で、サウンドペインティングのアトリエ(ワークショップ)に参加しました。
講師は、即興演奏家のヴァンソンレカンVincent Lê Quangさん。自分含めサクソフォニスト10人のグループで取り組みました。8日間のアトリエで、実際に音だしをしながらサインを覚え、3度の演奏会でサウンドペインティングによる即興演奏を披露しました。
講師は、即興演奏家のヴァンソンレカンVincent Lê Quangさん。自分含めサクソフォニスト10人のグループで取り組みました。8日間のアトリエで、実際に音だしをしながらサインを覚え、3度の演奏会でサウンドペインティングによる即興演奏を披露しました。
上の写真も下の写真も、実際に私たちが演奏した時の写真です。とてもたのしかった!
この記事では、サウンドペインティングがどんなものなのか、私が書ける限りの範囲で書いていこうと思います。
サウンドペインティングとは
指揮者(サウンドペインター)が、サインを用いて即興で作曲をする演奏形態。共通のサインによって、集団で演奏をする即興演奏です。
音楽家のみならずダンサーや俳優など、リアルタイムでのパフォーマンスに使うことのできる方法で、それぞれ専門的なサインがあります。今回私たちが覚えたのは、演奏をする人のためのサインです。
どんなサインがあるの?
サウンドペインティングの基本となるサインの実演をした動画がありました。こんなサインをつかいます。(本当は自分で絵を描こうと思ったのですがわかりにくすぎてやめました…)
たとえば、全員で低音のロングトーンをメゾフォルテで演奏するときは?
「誰が」…全員なら、両手を頭の上で囲んで大きな丸を作る。
「何を」…真ん中の音域なら胸の前で、両手を使って線を引く。
「どのように」…腕で音量のフェーダーを示して、音量を指定する。メゾフォルテなら真ん中。
「いつ」…いまやるなら、立っている場所から一歩踏み出して、両手で「プレイ」のサインを出す。
という動作を示します。
「何を」やるのかというサインには、ロングトーンの他にも
・ポインティリズム(ランダムにポイントになる音を散りばめていく)
・ミニマリズム(フレーズを繰り返す)
・ヒット(短い音を出す・その後はロングトーンやミニマリズムなど続けていたものに復帰する)
・ヒットオフ(ヒットをして、続けていたものはそこで止める)
などがあります。
ポインティリズムやミニマリズムは演奏者が何を演奏するか殆ど委ねられています。サウンドペインターはそれをきいて、「あなたは続けて!」という指示を出すこともできるわけです。
「どのように」では、音量のほか、テンポや音域の指定をすることもできます。同じように腕などでフェーダーを示します。
「誰か」では、全員、あなた、それ以外の全員を指定したりできます。
誰かのやっていることを、指名された人がそれに基づいてなにかをすることもできます。
そういった組み合わせで、演奏をしていきます。
やってみて思ったこと
「指揮者のいる即興演奏」ということしか知っていることがない状態で参加しましたが、本当におもしろいです。
サインを出せばわかるだろう、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、やはりわたしたち学生のサインより、先生の手慣れたサインは見やすいのです。でも、慣れない人が出すサインもまた、違ったおもしろさがあったりします。
また、サウンドペインティングを通して、音楽がどんな要素で成り立っているのか、考えさせられます。
電子楽器を演奏するときや、打ち込みをするときは、使う楽器やソフトによって出来ることに縛りがあるし、その中でできることに魅力を感じたりすることもあると思うのですが、そういった縛りをサインの中でつくって楽しむような感覚です。
集団で同時に音を出すと無意識に聴いて合わせてしまうけれど、あえて合わせないように気を付けたりするのも、特徴的です。みんな聞こえているので、意識しないとうっかり合わせにいってしまう。併せてはいけないのではなく、みんなで合わせる、とか、誰かに合わせる、というサインもあるんですよ!
おわりに
詳しくはサウンドペインティングのホームページ soundpainting.com に載っています。
また、サウンドペインティング・ワークブックという本に、サインのことがまとめて書かれているそうです。
Youtubeにもサウンドペインティングの動画がありますが、実際に生で演奏している場所に居合わせるのが一番楽しいと思います。機会がないとなかなか参加できないサウンドペインティングですが、またこういった機会があれば参加したいです。