デクリュックのソナタの解析

UES2017でのシリルレーンCyrille Lehnさんの講座を、部分的に掻い摘んでまとめたものです。問題がありましたら消します。
とても興味深い講座だったのですが、わたしの理解力が乏しいため、この記事の内容の正確さを保証できません。ごめんなさい。間違いを見つけたらまた直します。


デクリュックDecruckのソナタは、印象派的な音の使い方が特徴。
調性に頼ることをやめた、ドビュッシーがこころみている音楽に近い。
アジアの音楽やジャズのように、あたらしいスケールを使うことを試みている。

一楽章

ミ・ファ♯・ソ♯・シ・ド♯のメジャーペンタトニックスケール
ド♯・ミ・ファ♯・ソ♯・シのマイナーペンタトニックスケール
どちらも使っている音は同じ。メジャーペンタトニックはメジャーコード、マイナーペンタトニックはマイナーコードに対応させることができる。


③からの独奏パートに、メジャーペンタトニックが用いられている。



⑤からは、ドミナントの和音が連続的に鳴らされている。これは、ラヴェルやドビュッシーも使っている方法のひとつ。

二楽章

二楽章は、こどものための歌。でも、楽しい歌ではなく、部屋の中で静かに歌う曲。

ドレミファソラシドの長音階をミから始めた音階、ミファソラシドレミにすると、フリジアン旋法になる。
 

二楽章の冒頭の旋律は、フリジアンで書かれている。


⑬から始まるフレーズも、伴奏・旋律ともにペンタトニックスケールが用いられている。

ラヴェルのピアノ協奏曲の一楽章にも、これと似た形でペンタトニックが用いられている。

この動画で、2:18の位置から。

三楽章

三楽章のfeliuseのように、糸巻のモチーフとして三連符を用いることは、他の曲でも見られるにもある。たとえば、フォーレの「ペレアスとメリザンド」の糸をつむぐ女(feliuse)。糸車を回す動きを、三連符で表現している。



四楽章

ドビュッシーの海のように、クレッシェンド、デクレッシェンドに加えて、
音程の移り変わりからも、何かが近づいてくるような雰囲気がもたらされている。
ネガティブな印象から、気持ちや情景の移ろいを感じる。



引用した楽譜の出典元

Fernande Decruck/Sonate en UT♯(Gérqrd Billaudot Editeur 1943年)
Maurice Ravel/Concerto en sol(IMSLPから)
スケールの五線譜は筆者によるものです。