生み出せる考え方。外山滋比古「こうやって、考える。」

友達と一緒に本屋さんに行ったときに、平積みされている本の中から、いい加減に選んで買った本です。

…といってもあてずっぽうに選んだわけではありません。積まれている中から減りが激しいものとか、良い表紙だとか、そういう基準です。さらに中身は読まないで買うというマイルールを適用して、選びました。

この本はすべて、外山滋比古さんが過去に出版した本の中からの引用です。カテゴリ分けをされてはいるものの、 ぜんぶとぎれとぎれになっています。一通り読んでからは、ぱらぱらめくりながら、気まぐれに読んでいます。

わたしも、Twitterで流れてくる名言みたいなものが割と好きなほうです。
かとといって、名言うんざり*1という気持ちにもなっていて、そろそろ名言を好む人を卒業したいのですが。 



この本、まず、簡潔に書くことの良さについて書かれてたまえがきが秀逸だと思うのです。どこを読んでもムダがない。
南極に行っている夫に新妻が新年、 正月の電報を打った。
「アナタ」
その簡潔な電文に、何とも言えない感銘を受けた人が多かった。短いからこそ心打たれるのである。(p4)

 メモをとること、体を動かすこと、寝起きの頭を活用すること、…など、どこかで聞いたことのある言葉が多いけれど、かならずしもそういうものばかりではないです。こういう、心の置き所みたいなことについて書いた言葉も、ちょこちょこあります。



強い影響のあるものからは距離を置く
 よく、なになにから影響を受けたということを告白している本がある。それは湾曲にそのまねをして、セカンド・バイオリンをひいているということに他ならない。自分の考えが生まれなくなるほどに感銘を受けるということは不幸なことである。アイディアがほしかったら、決定的支配力を持つようなものに接しないのが知恵かもしれない。『アイディアのレッスン』(p.076)


 すごい演奏を聞いたりすると、「もう自分は音楽やらなくていいや」って言う人がいるけれど、影響力を受けすぎてしまうとそうやって離れて行ってしまうもの。
 
 音楽を本当に好きな人ほど、そうやって遠のいて行ってしまうのは、強い影響力を前にして謙虚になってしまうからだと思う。すごい人を見てあからさまに嫉妬したりするのも、強い影響のあるものから距離を取るための手段なのかな。刺激を受けても、自分を持って表現を続けたいものです。


*1:何か名言をメモするたびに、いちいちこれを思い出すのです。https://youtu.be/PLgYflfgq0M