生み出し続ける生き方を / ちきりん著「未来の働き方を考えよう」を読みました

雇用年齢の延長の背景にあるのは、国の財政の問題です。 年金を払うのが難しいがために、働く期間を延ばそうという発想。本来、働き方は人それぞれ違って当然のはずなのに、そんな勝手に決められていいものなんでしょうか?

ちきりんさんの「未来の働き方を考えよう 人生は二度生きられる」は、そんな働き方について問題提起をした本です。

 

大企業から個人へ、国内から国外へ

これまで、大企業はビジネスに必要なインフラをすべて社内に整えることが強みでした。しかし、現在ではさまざまなサービスの登場、インターネットの普及で、個人でも会社としての体制を整えることが簡単に。広告の業界でも、クチコミなどインターネット上の情報の影響力が上がったため、個人でも安価で効果的な宣伝をすることが可能になりました。

また、グローバル化が進むことによる働き方への変化も。日本にあった仕事が海外に流出したり、海外の常識が取り入れられたり。質の高い教育をインターネット上で受けられるサービスや、コンサートの動画動画配信など、途上国と新興国の知的な格差は埋まりつつあります。先進国生まれであるという優位性は減り、さまざまな分野で競争が激しくなることでしょう。

ストック型からフロー型へ

平均寿命が伸び続け、人間は何歳まで生きているのかわかりません。満足な貯金を考えると、きりのない額になってしまいます。一方で、お金がなくても生み出せる人であれば、長生きして貯金がなくても、その都度稼いで暮らすことができます。
時代は貯金を作る=ストック型から、自分でお金を生み出す=フロー型へ、徐々に移行していくとのこと。

長生きの可能性が高まると、いくら貯金=ストックをもっていても不安は尽きないけれど、稼ぐ力=フローを得る力がある人は、ストック 型の人より安楽に構えていることができます。いわば、「過去に貯めた資産をもつ人から、稼げる人へのパワーシフト」が起こるのです。(No.857-860)
そのため、青年期では貯金を作るために働くのではなく、自分の働く体制を整えるための仕事に。自分に稼ぐ力があれば、体制を整えたその後は、 別の働き方を考えてみることもできる。

常識を捨てる。価値を生み出す。

60~70歳の定年まで同じ職場で働くのではなく、引退の方法を考えてみましょう。たとえば、40代で新しい職場を考えてみる。自分の今後の見通し、得意不得意、社会とのかかわり方などいろいろなこと年齢で、もう一度就職活動をするのに適しているともいえます。

また、働き方自体を変えてみることで、ゆるやかに引退をするという方法も。週5日働くのではなく、勤務日数を減らしたり、自分のやりたい仕事だけわがままに引き受けるなどなど。働き方は今後常識にとらわれず、広くなっていきます。


現在は組織に所属しなくても、持っているスキルをお金に変えられる環境が整っています。お金に変えるには、若いうちから、また中年世代になっても、自分のスキルを磨き、人々から何が求められているのか考えることが必要とされます。
既に40歳、50歳の人でも遅くはありません。誰だって20年も働いていれば、それなりに社会に売れる知識やスキルがあるはずです。本人にとっては取るに足りないものに見えていても、他者から見れば価値のあることも多いのです。(No.2201-2204)
スキルをお金に変えるには、社会から求められているものがわかる感覚(=マーケット感覚)が求められます。また、誰も自分の行先を決めてはくれないので、理想の自分をはっきりとさせることが大切です。